「思い立ったが吉日。いざ大都会へ!」
これまではどこぞの辺境の地【ジャンボ村】で気が付けば村長の手下(※1)となり、物乞いが大好きな住人(※2)の頼みを聞いてやったりしていましたが、 日に日にモンスターは凶暴になるばかり。次第に相手歯が立たなくなっている……と限界を感じていました。
(※1)村長の手下……仕事の依頼はほとんど村長から発せられる。どう考えてもコイツがモンスターを手引きしているとしか思えない。
(※2)物乞いが大好きな住人……あの【素材】がなと船が造れない。この【素材】がないと店が開けない。など厚かましい依頼してくる住人たち。
凶暴なモンスター相手に生きて生還するためには防具を強くするかもっと威力のある武器を揃えるのが手っ取り早いのですが、 鍛冶屋のババァは「【素材】がないと作ってやらねぇ」などと抜かす始末。
「貴様のためにどれだけ協力していると思っているのじゃ。恥を知れっ!」
やはり辺境ではこれ以上望めないのでしょうか。聞くところによれば世界には住人たちからは【ドンドルマ】(※3)と呼ばれている街があるらしい。 その街は最盛期には3万人以上のハンターが生活していたと聞く。
(※3)ドンドルマ……シングルプレイ(一人用)ではなくネットワークに接続すると行ける街。
世界は広い。きっと大都会【ドンドルマ】には様々なハンターがいて街には活気が溢れているのでしょう。
「村には一度も討伐に行ったことないくせに"俺はあと一歩と言うところまでナントカを追いつめたぜ"などと大ボラ吹きの【ライバルハンター】(※4)と、 半人前のくせに態度だけは無礼極まりない【修行中ハンター】(※5)しかおらぬ。相手にならぬな」
(※4)ライバルハンター……そういう人の名前(つまり名無し?)。RPGで言うと"町の人A"と言う感じか。自分の武勇伝を盛んに宣伝してくるも、実際彼が狩りをしているところを見たことがない。
(※5)修行中ハンター……【ライバルハンター】と同じ。"町の人B"。知ったかぶりの生意気女。
そう考えれば考えるほど、旅への思いは募るばかりです。地方在住の人間が一度で良いから渋谷、新宿に遊びに行ってみたいと考えるのと似ているかもしれません。
「一度その【ドンドルマ】を見てみたいものじゃ。もっとも以前いた皇都ト○メ○アには敵うまいがな……」
しかし困ったことにこれまでネットワークゲームをやった経験がないので単身で乗り込むには、かなりの勇気を必要とします。 他のプレイヤーさんと協力してモンスターを討伐するといったゲームの性質上、会ったこともない人と会話(チャット)する必要もあるでしょう。 一度はネットワークゲームというのを体験してみるのも良い経験になるだろうと考えたものの、人見知りをしてしまう私。 そしてインターネットを始めてからこのかたチャットや掲示板で見知らぬ人と話したことがなかったのでどうしても躊躇してしまいます。 ネットの世界でもやはり人見知りをしてしまうのでしょうか。
そこでS本氏に助けを求めることにしました。 とは言っても、もともとこの「モンスターハンター2ドス」を始めたのは彼が私をネットワークゲームの世界に引きずり込もうと画策したことが発端なのですが。
彼は私の申し出を快く引き受けてくれました。「モンスターハンター2ドス」を始めて約2ヶ月。遅まきながらようやく覚悟は固まりました。
「……いざ大都会【ドンドルマ】へ出発じゃ!」
山を越え、谷を越え……その間にモンスターに襲われること数知れず。残り少ない携帯食料で飢えを満たし、喉の渇きを覚えれば近くの川で命を繋ぐ………。 そんな旅を続けること数日(※6)。ついに地平線の向こうに【ドンドルマ】の城壁が見えてきました。
(※6)旅を続けること数日……実際はスタート画面から【街へ行く】を選択するだけ。
【ドンドルマ】は城壁に囲まれた巨大都市。門には屈強そうな兵士が守衛しており、街門の奥には上り階段が続いているのが見えます。 やはり都会は違う。これから始まる生活への期待に胸が膨らみます。
「ほぅ、ここが噂の【ドンドルマ】か。やはり辺境の村とは比べものにならぬな……」
街門の前には【古龍観測所】と呼ばれる凶悪モンスター【古龍】が街を襲撃しないか監視している観測所があり、 夜だというのに街の人や行商人、他のハンター(※7)など街は活況を呈しています。
(※7)他のハンター……ここでうろうろしている連中はコンピュータだと思う。
ここでボーッと道行く人を眺めていても始まりません。さっそく知人[ナナリー]さんを尋ねることにしました。 街門の横にある掲示板で[ナナリー]さんのいる地区を確認し、いよいよ【ドンドルマ】の中へ。
こうして【ドンドルマ】での生活が始まったのでした。
「ところでわらわはどこに泊まればよいのじゃ?」
(つづく)
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