試される"生きる力"の旅(後編)

2014-08-21 (木)
- 紀行文/関東地区

携帯電話・家の鍵・Suicaを職場に忘れ、助けを求めに不動産屋に行ったらなんと定休日。

宿泊場所を探す放浪の旅。後編。

(a)そこそこ大きい某駅

市町村合併の結果、巨大な市になり勢いに乗っている市の名前がついた「そこそこ大きい某駅」
ほとんど降りたことはないので勝手はわからないが、駅前の繁華街っぷりはなかなかのもの。

だがホテルは駅前一等地にあるわけではない。
大抵駅からちょっと離れた(徒歩3~5分程度)立地にあることが多い。駅からはホテルの看板が見えることは少ない。
そして駅を降りてみて驚いた。"そこそこ大きい某駅"ですら、観光地でない限りビジネスホテルは少ない…というかほとんどない。

ホテルがどこにあるかわからない上に、またネットで調べようがない。

……完全にネット依存ではないか。

駅構内に周辺地図が備え付けられている。それをみると飲食・宿泊・文化施設などが色分けしてマッピングされている。とても便利!
その地図によれば「そこそこ大きい某駅」の近くですら宿泊施設は2軒しかなかった。
個人経営のドマイナーなビジネスホテルもあるかもしれないが、例によって調べようがない。

とりあえず場所は分かったものの、公衆電話から電話して空室を聞いて見ようにも電話番号がわからない。
むかし、むかし。高校時代友人K松氏と北海道縦断レンタカー旅行に行ったときは、行き着くところまで行って暗くなったら 公衆電話に備え付けの電話帳でホテルを探し、片っ端から電話して聞いたことを思い出した。

アナログ社会からデジタル社会へ。
インターネットや携帯電話が当たり前の世の中になって、公衆電話に電話帳なんてもう置いていない。そもそも公衆電話を探すのすら大変な世の中になった。
便利な情報機器を持たない時代から取り残された人間には生きにくい世の中になったものだと改めて思い知らされた。
今回の自分の場合はそこまで深刻ではないけれど、不便なことこの上ない。

しょうがない。行ってみるしかない。
駅構内で見た地図を頼りに歩くと……果たしてあった。全国展開している安さ・快適さを売りにしている某ビジネスホテルが。
不思議と客がそこそこいてフロント係は忙しいそうだった。おいおい、夏休みも終わりに近づく8月20日の水曜日だぜ。

少し並んで自分の番が回ってきた。フロント係は私の姿を見るなり「お帰りなさいまぜ」とのたまった。
「いや……今日、急遽宿泊したいんですが部屋は空いていますか」
「今日は満室ですね~」
0.5秒で返事されて瞬殺された。

(はああぁぁあああ?8月20日の水曜日だぜ?満室なわけねーじゃん。まさか予約ナシの一見さんはお断りなのか?)

そんな疑念が脳裏を掠めるほど即答だった。なんか腹が立った。
ただ確かにそうこうしている間にもタクシーが止まったり、客がフロントに手続きに来たりと忙しいそうではある。
そして隣のもう1軒のビジネスホテルの駐車場も車がぎっしりだった。

もう1軒の方は空き室を確認する気力が失せてしまい、その「そこそこ大きい某駅」は諦めた。

(b)もうちょっと大きい某駅

再び電車に乗り「そこそこ大きい某駅」より「もうちょっと大きい某駅」を目指すことにした。
同じ巨大市内の駅ではあるが、古くからこちらの方が栄えており商業施設もたくさんあるターミナル駅である。

電車に揺られながらふと昔の知識が蘇る。
ホテルに宿泊したときに、1Fロビーには無料のインターネットコーナーがあった。
どのホテルにもあるかどうかは不明だが、少なくともさっき断られたホテルにはあっただろうか……満室の返事が想定外だったので動揺してしまい全く確認していなかった。
今からホテルに戻るのも面倒臭いし、あの断られ方に腹が立ち戻って確認する気にもおきない。

次の場所「もうちょっと大きい某駅」に賭けるしかない。

「もうちょっと大きい某駅」は土曜など仕事の帰りがてら利用することはあるものの、ホテルがあったかどうかまでは思い出せない。
そして残念なことに大きいだけの古い駅だから「そこそこ大きい某駅」にあった周辺案内図がどこにもなくホテルがどこにあるか、さらに調べようがない。
駅から出て少し歩いたものの宿泊施設の看板のかけらもない。

だが、これほどの「もうちょっと大きい某駅」。宿泊施設がないわけがない。
あてもなく歩くしかないのか……。
太陽はとうに沈み、夜の帳が下りている時間とは言え、うだるような蒸し暑さの中をあてもなく歩くのはしんどい。でも歩かないと宿泊施設は見つからない。歩こうにもどこに歩けばよいのか見当もつかない……。

とりあえず歩いたものの、前を歩くOLらしい2人組が自分の進路を妨害しているようで、これまた無性に腹が立つ。
狭い通路なのにふと立ち止まるわ、また歩き出すわ、自分のペースで歩かせてくれない。しかも2人並ぶと通路いっぱいなので横から交わすこともできない。

……通り魔事件は、こうやって起きるのか

幸運なのか、野生の勘が働いたのか、どこかの神の思し召しなのか、歩く方向にさっき断られた大手ビジネスホテルの系列店の青いネオンが煌々と輝いているのが見えた。
助かった。でもまた断られたらどうしよう……。
期待と不安が入り乱れる中で、その青々と輝くネオンに惹かれる蛾のようにフラフラと向かった。

またフロントで同じように聞いてみる。
「ございます」今度は頼もしい返事があった。助かった。
「ただ……(空室の中で)1番小さいお部屋でキングサイズのベッドになって8,500円になりますが」

8,500円!?ただの素泊まりで!!

次の瞬間に「ほか当たって見ます」喉から搾り出すような声を出していた。

(c)特徴のない小さな某駅

再び駅前に戻ってきた。
これはいったいどういうことだろう。断られた大手ビジネスホテルの2軒とも部屋数はそれぞれ200室ぐらいある、それなりに大きいホテルなのに。

嫌な予感がする。

ホテルは大抵、電話かインターネットで空き室を確認して予約する→当日フロントで予約した名前を告げる→「いらっしゃいませ」という流れが普通だろう。
それなのに突然当日突然行って「今日宿泊して部屋は空いているか」と言われ、部屋は空いているものだろうか。部屋は空いていたとしても準備ができておらず、そのために満室だと断られてしまうんじゃないだろうか。
あるいはさっきみたいに不当に高い値段を提示されるとか……もしそうだとすれば、ホテルの宿泊は絶望的なのだが。

マンガ喫茶か…?以前宿泊せざるを得なくなった自宅近所のマンガ喫茶以外の店を私は知らない。そして何よりも調べようがない。

2軒目で断られたときに無料インターネットパソコンがあるかどうか見回してみたが、よくわからなかった。
仮にあったとしても宿泊客以外の人間が勝手に使って良いものかわからなかった。

突然浮かんだ選択肢(5)"公園で野宿"を一瞬で追い払う。
だったら近所のマンガ喫茶で十分だ。

歩き回って、直接行って、フロントに聞いてみる方法は効率がとても悪い。やはり電話作戦しかない。
そしてさすが全国展開の大手ビジネスホテル。フロントに冊子を置いてあるのを見つけ、そこには全国にある系列店の最寄り駅と地図と電話番号が全て載っていたのだ。 冊子を一冊拝借してきた。

公衆電話を探し出し財布から取り出した小銭を握り締めた私は、沿線の「特徴のない小さな某駅」近くのホテルに電話をした。

はじめに断られ腹立たしい思いをした「そこそこ大きい某駅」のホテルに電話して空室を聞き、あると言われたらブチ切れてやろうと思ったが、まず時間と小銭の無駄だし何よりもまだ宿泊地が決まっていないため泣く泣く断念した。

さすが「特徴のない小さな某駅」。
電話口でフロント係は「シングルが空いております」と即答だった。疲れきっていた私には天の声に聞こえた。
散々責め立てられ疲れて朦朧とした直後に甘い言葉をかけられると痴漢してなくても認めてしまうだろう。そんな思いだった。

まぁその「特徴のない小さな某駅」こそ、普段通勤で利用している自宅からの最寄り駅だったりするんですがね。

しかも慣れないホテルの外泊なので、無駄にテンションがあがってしまい、フロントに鍵を預けて外出しちゃったりする。
外出エリアが普段自転車で通っている所だと悟り自己嫌悪。
この夜10時なら、いつも見とるわ!

……まったく、情けない。

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